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 高分子固体における二光子イオン化と電荷再結合


色素を加えた高分子固体に光を照射すると、写真1のように蛍光が観測される。通常の光源では、蛍光が観測されるだけで、高分子試料に目立った変化は見られない。しかし、レーザのように光密度の高い光源を使用すると、写真2のように鮮やかな着色が観測されるようになる。この着色は、色素のイオン化により生成したカチオンによるものである。このように光密度が十分に高いと、色素は励起寿命内に二つ以上の光子を吸収できるようになり、イオン化ポテンシャルを超えるエネルギーを受け取ることができる。この現象を多光子イオン化という。色素から放出された電子は、媒体分子との衝突を繰り返しながらエネルギーを失い、最終的にはカチオンと再結合する。溶液中では再結合は素早く起こるので着色を目で見ることはできないが、高分子固体では再結合速度は非常に遅いため着色を直接目で確認することができる。高分子固体中に生成したカチオンは室温においても安定であり、着色は数ヶ月後にも視認できるほどである。
 

 写真1
 

 写真2

二光子イオン化と電荷再結合のスキームを右図に示す。光子を二つ吸収することにより、イオン化ポテンシャルを超えるエネルギー準位に励起された電子は色素分子から放出される(二光子イオン化)。放出された電子の一部は、媒体に捕捉され安定化する。高分子の場合、捕捉された電子は室温でもガラス転移温度以下であれば安定に存在する。高分子固体の緩和運動がほぼ凍結した極低温下でも、長距離トンネリングにより放出電子は親カチオンと再結合する(電荷再結合)。この再結合により、色素分子は再び励起状態となり、蛍光およびりん光を放つ(電荷再結合発光)。また、この再結合反応は高分子固体の側鎖緩和など局所運動により促進されるため、再結合発光を観測することにより、高分子固体の緩和挙動を鋭敏に捉えることができる。
当研究室では、二光子イオン化に関して、これまでに次のような研究を行ってきた。
・ 電荷再結合と高分子固体の緩和挙動
・ 極低温下における電荷再結合メカニズム
・ 放出電子の空間分布
・ 高分子ナノ超薄膜中での二光子イオン化

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最近の研究成果
1. H. Ohkita, W. Sakai, A. Tsuchida, & M. Yamamoto, Macromolecules, 30, 5376 (1997).
2. H. Ohkita, W. Sakai, A. Tsuchida, & M. Yamamoto, J. Phys. Chem. B, 101, 10241 (1997).
3. H. Ohkita, H. Ishii, T. Ogi, S. Ito, & M. Yamamoto, Radiat. Phys. Chem., 60, 427 (2001).

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